会社によって違うライブラリの質
先日のブログでMS分析の際に
ライブラリ(成分データ)を参照するというお話をしましたが、
この参照するライブラリはMSの機械に
すべて同じものが搭載されているわけではなく、
分析会社によって違います。
分析を続けていく中で分析会社の
データベースがより充実し、
名称判別が可能になっていくのです。
つまり、分析会社のこれまでの
分析経験などにより、
名称特定率はかなり変わります。
リモネンやαピネンのような
有名な成分であればどの会社での成分分析でも
確実に特定されるかと思いますが、
あまり有名ではない成分は
会社によって成分を
特定出来ない場合があります。
なので、会社の検査では
名称がはっきりしていても、
ある会社では
「セスキテルペン化合物」と、
その分子のおおまかな
化学分類名しか出てこないことがよくあるのです。
また、精油には1000種類ほどの成分が含まれています。
ISO取得の分析会社をいくつか発見しておりますが、それらの会社でも0.01未満の成分については精油のテストでは検出しません。
ですが、GCMS分析でも成分の最小単位が0.1%である分析請負会社の試験結果を見たこともあります。
分析検査の質が安定していない会社も
検査の流れも、どれくらい正確に
安定した結果を出せるか?
これも分析会社によって違います。
「GCMSをどのように正確に行うか」は
研究者の間では非常に重要な課題と
言われているだけあって、
同じ精油を違う検査機関に出すと
違う結果が出てくることは普通にあります。
あるフランスの国際的な権威を持つ
アロマテラピー専門の分析会社では、
ISOを取得しており、
そのテスト方法は規格内で確実に行われています。
その会社では十年数間、
アロマ専門の分析を国内外から
大量に引き受けておられる為、
検査技師も慣れておられ
その結果には信憑性があります。
かつライブラリもかなり充実しているため
芳香分子種別特定率は99.5%を
超えているものがほとんどですし、
成分名称の特定率も
他の分析会社の特定率に比べてかなり高めです。
ISO取得をしていない分析会社だと
作業の正確性やライブラリの質には
疑問があるため、
弊社や弊社製造元では
そのような会社へは分析依頼はかけない方針です。
残留農薬試験を行って
合格だった!と思ったら、
残留農薬が実はあったというのは怖いので。。
もし弊社が誰かから中古のGCMS分析の機械をいただいたとしても、それでも検査は他社に依頼すると思います。
国内で成分分析をする精油メーカーは誠実である、
という声を聴くことがあり、
弊社でも初回は輸入後に
国内の検査機関に依頼しましたが、
検査の正確性や精密性の方が国内検査であることより
重要であると感じ、
輸入後にフランスのISO取得機関に送って
分析する方針です。
製造元の出荷から、弊社への入荷までは
弊社ではずっと温度管理がされた
薬品・危険物同様の発送を依頼していますので、
輸送状況による劣化は確認の為複数回
テストしたところほぼないことが確認出来ているのですが、
製造元での成分分析日と
弊社輸入日に隔たりがある場合、
保管によって成分差が存在する可能性があるため、
念のためチェックを行いたいと思っています。