生理学 動物の細胞2 細胞小器官

細胞質には多くの「細胞小器官」があり、それらが細胞の分裂、エネルギー産生やエネルギーの取り出し、物質の代謝などを行い、細胞という小さな小さな社会での様々な活動を支えあっています。

それらの基本的な働きを今日は簡単にお伝えします。

 

ポイント

細胞は、一番小さい「社会」です。私達の社会や体と同じようにたくさんの機能があって、細胞の生命活動を支えています。

次回は細胞分裂についてお話しますね。

細胞分裂はウィルスや細菌について知るためにもとても大事なところです。今回の細胞小器官について軽く頭に入れておいてください。

 

 

核(細胞核)

細胞核は単純に「核」ということが多いですね!

中にはDNA(デオキシリボ核酸)と核小体があり、DNAはご存知だと思いますが遺伝子情報を持っているもので、タンパク質と結びついた染色質という形で核内にあります。核小体はリボソームを合成する部分です。

外側は核膜でおおわれています。

その核膜には、核膜孔と言われる小さな穴が開いていて、そこからmRNAなどの物質が出入りします。もちろん出入り出来る物質は決まっています。

 

ミトコンドリア

2枚の膜からなる棒状の小器官で、膜の内側には内板(クリステ)という板状のひだが多数存在します。ミトコンドリアは、エネルギー活動減であるATP(アデノシン3リン酸)を大量に合成し、供給してくれます。1細胞中に300~2000個くらいのミトコンドリアが存在していますが、肝臓や脳、腎臓、筋肉などの新陳代謝や活動が活発な部位では1個の細胞に数千個のミトコンドリアがいて、エネルギーを大量に算出してくれています。人間の体重の約10~12%はミトコンドリアです。

ミトコンドリアは真核生物にしか存在せず、細菌などの原核生物には存在しません。真核生物の中にもミトコンドリアを持たない生物もあります。

ミトコンドリア自体が細胞核とは別に、自分の核を持っています・・・!実はミトコンドリアは元々別の生物で、ミトコンドリアの祖先が真核生物の祖先と共生の道を選んだのです。

それで、「ずっとおとなしく共生していたはずのミトコンドリアが覚醒して人間界へ進出する」というホラー小説が作られ、映画化されました。それが瀬名秀明著パラサイト・イヴです。

  

ライソソーム(リソソーム)

細胞内のお掃除屋さんです。加水分解酵素をたくさん含んでおり、細胞内にある要らなくなった物質や、細胞内に入り込んできた細菌などの外敵を分解します。

 

リボソーム

核からmRNAという形で送られてきた細胞の設計図通りにタンパク質合成を行う工場のような場所で、mRNAとタンパク質で成り立っています。核内にある核小体で合成され、核膜孔から細胞質へ出ます。

 

小胞体

図の中に緑色の、網状に何層かになって広がっているものがありますがそれが小胞体です。小胞体は核膜と繋がっていて、核膜からの情報を運ぶ通路の役割も果たします。

小胞体には2種類あり、リボソームがたくさんくっついているほうを粗面小胞体と言いタンパク質合成と関連があります。リボソームが付いていないほうを滑面小胞体と言い、脂質の代謝と関係しています。

小胞体の機能は、細胞がどの臓器・どの部位にあるかで変わります。

 

中心体

細胞分裂の時に働く、円柱状の器官です。詳しくは細胞分裂のところでお話します。

 

微小管

細胞分裂の時に働く、細長い棒状の器官です。詳しくは細胞分裂のところでお話します。

 

ゴルジ装置

画像のオレンジ色の層になっている器官がゴルジ装置です。

粗面小胞体(リボソーム付きの小胞体)の近くに存在しており、粗面小胞体から出てくるタンパク質に糖を添加して糖タンパクを合成したり、分解したり、細胞の外に出したりする働きがあります。糖の種類も色々あり、その付加する糖の種類によって細胞内にとどまりエネルギーとして保持されるか、細胞膜に向けて放り出されるかなどが変わります。

 

今回は簡単に紹介させていただきました!

 

理解確認テスト

1.ミトコンドリアはタンパク質を合成する細胞小器官である。〇×?

2.リソソームの役割は?

3.大量のリボソームが付いているのは滑面小胞体?粗面小胞体?

4.リボソームはエネルギーを産生する細胞小器官である。〇?×?

 

 

参考:医歯薬出版株式会社 生理学 第2版 P.7-8 

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