この3つの分析表はすべて、有機の精油CのGCMS分析データです。GCMS分析では2mLの精油サンプルを検査会社に送付して分析していただきますが、当方から依頼する際には製造元から送られてきた瓶を開封せずに送りました。それも可であるところが多いです。
「ISO取得、つまり世界標準規格で検査を行っている会社のデータでないと検査結果を信頼出来ない」と言う製造元は、GCMS分析を依頼する時はフランスのISO取得のアロマ専門の検査機関フィレネッセンセス社に依頼しています。今回のデータによりその意味が解りました。
正直に申し上げますと、私はGCMS分析を依頼したらフォーマットや伝え方は違えど、ほぼ同じ結果が得られると勘違いしておりました。
分析率は99.98%、118種類の分子を判別。すべての成分が名称まで完全に特定出来ているわけではありませんが、芳香分子の分類くらいまでは特定が出来ています。一番上はテスト時あるいは製造元からのサンプル送付時に容器を消毒した際に混入した消毒用エタノールかと思われます。※アレルゲンについては当方で付け足しているデータです。
この会社は10年以上もアロマテラピー製品の成分分析を続けておられるため、ライブラリの質がかなり高い会社です。成分分析率および成分特定率も非常に高いです。
この精油の特性成分である1,8-cinrele 59.37%, α-terpineol 12.25%, limonene 5.01%が確認出来ました。
2つ目:国内の分析会社
この会社には内容が製造元からいただいたデータと比べてずれていないことだけ確認出来たら良しと思って依頼しましたが、44種判別?のうち特定は20種。精油の種類数、名称、数値はいただいたままの内容です。0.05%でも精油内に存在していないと効能を十分に呈さない成分もありますが、小数点第1位までしか記載がないのでそういった微量の成分の含有率は判らないと思います。すべての%の値を足すと96.6%でしたが、分析率100%との記載。おそらく小数点第2位の関係かと思われます。グラフはありましたがリテンションタイムの記載はありませんでした。
参考にならないと思って早々にじっくり見るのを止めた為、今気づきましたが、Limoneneが入っていません。リモネンはこの精油に必ず含まれている成分です。リモネンのような有名な成分のデータがライブラリに無いというのは考えられませんし、検査機械にかけた後の分析に何週間も時間をかけておられましたので、たまたま検査に失敗しておられたのかもしれないですね。検査料金はこの会社が一番高いです。
3つ目:海外の他の分析会社
2つ目の結果と製造元のデータの数値がかなり違ったので本当に違う精油だったら困ると思い、2つ目の会社に依頼した精油については他の精油の分析を行っている海外の会社に改めて急遽分析依頼。そのため販売開始予定が大幅に遅れました。この会社も完全に特定出来ていない成分や極端に少ない成分のデータは掲載しない主義のようですが、特定は99.39%で、小数点第2位まで記載。一部名称が異なる成分もあるのですが、多くの数値も名称も1つ目の成分分析表と一致していました(例:1,8-シネオール59.37%、リモネン5.01%、α-ツヨン0.18%等)。一部名称や分類が違うものもありました。もちろん、微量に量が違う成分もありました。ですが今回の分は分析精度自体はかなり一致しているデータでした。
ただ、この分析表はグラフはありましたがリテンションタイムの表への記載はありませんでした。この画像は、実際いただいたデータの一部を隠して、かつ左右にスペースがかなりあったのでそれを縮めましたがそのままのデータです。
精油の成分変化がないかについては、結局同じ検査会社に依頼しないと完全には分かりづらいですね。今後、製造元名を伏せた状態で製造元と同じ会社に依頼してみることも考えようと思います。
まとめ
- GCMSと言っても、分析時の参照データ(ライブラリ)の差、機械や検査の質、検査会社の結果伝達方針によっては異なる結果が出ます。